機は熟していた。
私は、上司の汚田が、HWの社長に対して、せっせと送っていたメールの全てを印刷していた。
その本文には、半導体会社はもう倒産寸前である事や、自分が営業活動を頑張って、HWのために売上貢献するので、自分が退職した際の取り計らいをお願いする内容が生々しく綴られていた。
そんなのデタラメだ!!と言われないために、メールデータも全て、私は自分のUSBに保存していた。
後は、私がどのようにして、汚田の不正を会社の上層部に流すか…
それだけだった。
ソコが最も大事だった。
私は、I社長付に依頼する事にした。
I社長付と汚田の敵対関係は、社内でも周知の事実であり、社長付は汚田に対して恨みがある事を私は把握していた。
私はI社長付にメールを送った。
かなり、一か八かだった…
しかし、私は返事が来る自信があった。
そして、送った2日後だった…。
I社長付からメールが来た。
内容は、短いものだった…
『話しを聞こう。但し、社外でだ。』
さすが元経理部長…用心深いと思った。
私は、社長付と会うために、かなりお高めのお店を押さえた。
普段なら絶対に行かない場所だった…。
忘れもしない、2009年の1月末だった。
約束通り、社長付は来てくれた。
人目に付くのは、かなり危険なので、
用件は出来る限り、簡素に伝えた。
もちろん、証拠となるモノは、
全て紙で渡した。
目を通し終わった社長付は
『分かった。』
とだけ言って、紙を鞄にしまった。
後は、小一時間ほど、一緒にお酒を呑んで、料理に舌鼓を打ったのだった。
ただ、帰り際に、社長付から
『この件は私に任せてもらう。内部統制の責任者である汚田の不正は看過できない。従って、汚田は処分する方向で動く。私から社長に伝える。しかし、君にも火の粉が被るかも知れんが、それでも良いか?』
と言われた。
私はただ、コクリと頷いた。
そして、秘密裡の会合は終わった。
それから、2週間が経ったある日だった…
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